テリーヌ仕立てにしていますが、中身は外見のように洋風的だというより、日本統治時代の酒楼伝統台湾料理「蟳丸(ガザミの団子)」のスピリッツを継承しているものだといえるでしょう。秋が深まり、文旦(ブンタン)の旬にもなってきています。台南・麻豆産で60年以上の老木で採れたものを使用しており、さっぱりしたプンタンの実を一番下に敷き詰めてから、美食家が大好きなぎっしり詰まった赤いカニみそと、繊細で甘いカニの身を、順番に重ね敷いていきます。そして、18年物の紹興酒を注ぎ、海の幸のおいしさをより一層引き立てます。最後に透明感のあるトマトの冷製スープに浸し、いろんな味の変化が楽しめる一品が出来上がります。
甘蔗燻雞(サトウキビを用いて鶏肉を燻製したもの)、天然からすみ、アワビ、紅糟肉(豚肉の赤粕漬け揚げ)、鶏とエビの揚げパン
中国古代の女子はよく紅で眉間に紋様を描いていて、その特徴的な化粧法は「花鈿(かでん)」といいます。そのみやびな美しさを料理で表すよう、料理人はこの手間ひまかけた一品を考案しました。秋ではさらに旬のカニを使用し、カニみそをたっぷり入れて、より食欲をそそるように仕立てます。スライスされた瑠璃色の冬瓜(トウガン)で作った巾着に、カニの身やカニみそ、ブナピーなどの具材をぎっしり詰めて、鶏がらスープで煮込んだら出来上がります。一口をかじったら、鶏スープの旨味とカニの身の甘さ、カニみその香ばしさが一気に口の中にはじけて、山海の珍味を満遍なく伝えてきます。
ぷりぷりムチムチの放し飼い地鶏もも肉を使用します。台湾在来種シナモンの葉っぱで鶏もも肉を一日漬けてから、台湾バジルと玉ねぎを詰め込んで、香りと味を付けます。バナナの葉っぱで包んで焼いたら出来上がります。味わいが独特で、召し上がったらやみつきになる一品です。
重さが450g以上で、かにみそがぎっしり詰まった野生ワタリガニを厳選し、動物用医薬品や重金属の残留試験をクリアしたもののみを使用しております。おこわは事前にきのこ、栗、澎湖産干しエビと一緒に炒めたもので、身が引き締まった極上カニをその上にのせて蒸したら、もち米が一滴も残らずにカニのエッセンスを吸い込み、上品な香りが漂うカニおこわが出来上がります。さらに、アワビの煮付けや馬祖産の淡菜、塩味イカ、アサリのニンニク炒め、日本産イクラなど新鮮な海の幸を盛り付けます。まるで台湾式海鮮フェスティバルを演出するような贅沢さをぜひ堪能してください。